寿司の味を決定づけるのは、言うまでもなく圧倒的な「鮮度」だ。現在流通する高品質なノルウェー産サーモンは、水揚げから内臓処理、急速冷却を経て、わずか数十時間後には航空便で日本の市場へチルド(完全無凍結)状態で届く。一度も凍結されない生サーモンは細胞組織が壊れておらず、特有のぷりっとした弾力と豊かな香りを損なわない。
一方、近年存在感を急速に増しているのが、日本の高度な水産技術を注ぎ込んだ「国産陸上養殖サーモン」だ。内陸のプラントで地下水やろ過海水を用いて育てられるため、アニサキスなどのリスクが完全に排除され、輸送に伴うカーボンフットプリントも極限まで抑えられる。ノルウェー産が誇る脂の豊かなボリューム感に対し、国産は雑味のない澄んだ旨味とフレッシュな歯切れの良さで勝負しており、プロの仕入れ現場でも評価が二分している。
プロが教える「失敗しない鮮度の見分け方」は明快だ。切り身の白い脂肪線(サシ)の輪郭がぼやけず、くっきりと均一に走っていること。そして、身の表面に鈍い濁り汁(ドリップ)が出ておらず、みずみずしい透明感を帯びた光沢があるものを選ぶのが鉄則である。