本作の評価を不動のものにしたのは、適材適所と絶賛された俳優陣のアンサンブルです。主演の吉高由里子は、従来の「お仕事ドラマのヒロイン=情熱的でがむしゃら」というステレオタイプを覆し、業務時間中は高い集中力でタスクをこなし、18時になると颯爽とタイムカードを切る軽やかさを魅力たっぷりに演じ切りました。
共演の向井理が演じた種田晃太郎は、ワーカホリックでありながら部下への配慮と卓越した実力を併せ持つ人物です。撮影当時の公式インタビューにおいて、吉高は向井との共演について「言葉にしなくても仕事の呼吸が通じ合っている元恋人同士という、絶妙な距離感を自然に作ることができた」と振り返っています。過度なスキンシップや直接的な告白に頼らず、深夜のオフィスで交わす目線や、缶コーヒーを差し出す指先の仕草ひとつで観客に感情を伝えた向井の佇まいは、放送当時からSNS上で絶大な人気を獲得しました。
脇を固める登場人物たちも、現代の職場に必ず一人は存在するペルソナを見事に体現していました。
- 内田有紀(賤ヶ岳八重役):産休・育休明けに焦りを感じ、「以前と同じように働かなければ」と無理を重ねるワーキングマザーの葛藤を体現。
- ユースケ・サンタマリア(福永清次役):昭和的な根性論と無責任な受注で部下をすり減らすプレイングマネージャーの恐怖を怪演。
- 中丸雄一(諏訪巧役):家庭的で定時退社を好む理想的なパートナーに見えながら、本質的な部分でパートナーの孤独に寄り添えない男性の機微を熱演。
- 柄本時生、泉澤祐希、シシド・カフカ:職場のモチベーション格差や新人のリアリティショックを克明に描写。
さらに、作品の世界観を強固に支えたのがSuperflyによる主題歌「Ambitious」です。ただ定時に帰るだけでなく、自分の意志で人生を選び取る人々の背中を力強く押すメロディは、各話のエンディングで結衣がビールと熱々の小籠包を口に運ぶシーンと重なり、視聴者に極上のカタルシスをもたらしました。