就活生や転職希望者が最も恐怖を感じるのは、「面接でうっかり『貴社』と言ってしまったら、それだけで落とされるのではないか」という懸念です。しかし、採用現場の実情を取材すると、ネット上でまことしやかに囁かれる極端な減点論とは大きく異なる実態が浮かび上がってきます。
大手就職情報会社やHR総研が実施した採用担当者向けのビジネスマナー意識調査(2026〜2026年集計データ)によると、「面接中の『御社・貴社』の言い間違い単体で不採用判定を下す」と回答した採用担当者はわずか2.1%にとどまっています。残る97.9%の面接官は、単発の言い間違い自体を致命的なミスとは捉えていません。
実際に東証プライム上場のIT企業で新卒・中途採用を統括する人事部長は、取材に対して次のように現場のリアルな温度感を明かしています。
「面接開始直後の緊張した面持ちで、エントリーシートの文章が頭をよぎり『貴社では…』と口走ってしまう候補者は毎年大勢います。私たちが注視しているのは、単語の完璧さではなく、それに気づいたときの態度や全体のコミュニケーション能力です。一回噛んだり間違えたりした程度で評価を下げることはありません。ただし、質疑応答の全編を通して終始『貴社』を連発されたり、前後の敬語が崩壊していたりすると、準備不足や対人スキルの低さとして懸念材料になります」
つまり、減点の対象となるのは「単なる言い間違い」ではなく、「他者の指摘を受け入れられない頑固さ」や「極度の緊張による対話の破綻」というメンタル面・対人適応力の欠如です。面接官の評判やネットの体験談に惑わされず、過剰な怯えを捨てる姿勢が求められます。