一般のスーパーやネット通販では、すでに殻を割りアブラを除去した「刺身用冷凍つぶ貝(スライスまたは開き)」が手軽に入手できます。「生で活きている貝に比べて冷凍品は味が落ちるのではないか」という疑問の真相を、流通現場の観点から検証します。
現代の水産加工現場では、北海道やロシア沖、カナダ沿岸で漁獲されたつぶ貝が、水揚げ直後に港の近代設備で急速凍結(ブライン急速凍結やCAS凍結技術)されています。アブラを工場ラインで完全に切除し、マイナス40℃以下で瞬間凍結された製品は、細胞破壊が最小限に抑えられており、驚くほど高品質です。実際に大手回転寿司チェーンや大衆割烹で提供されるつぶ貝の多くは、こうした高品質な冷凍フィレが使用されています。
しかし、家庭で冷凍つぶ貝を解凍する際に「電子レンジの解凍機能を使う」「室温に長時間放置する」といった誤った手法をとると、細胞膜が破裂して大量のドリップ(旨味成分を含んだ水分)が流れ出てしまいます。結果として、ゴムのように硬いだけで味のしないブヨブヨの食感に成り下がってしまうのです。
【冷凍つぶ貝を劇的に蘇らせる「氷水パック解凍法」】
冷凍のつぶ貝フィレをジッパー付き密閉袋に入れ、空気を抜いて密閉します。たっぷりの氷水を入れたボウルに沈め、20〜30分かけて緩慢に解凍してください。0℃前後の環境を維持して解凍することで、ドリップの流出を極限まで抑え、生の真つぶに匹敵するピンとしたハリと濃厚な甘みを完璧に蘇らせることができます。