食品表示法において、バターに表示されているのは「安全に食べられなくなる期限」を示す消費期限ではなく、「美味しく食べられる期限」を示す賞味期限です。水分量が約16%以下と極めて少なく、乳脂肪分が80%以上を占めるバターは、一般的な乳製品(牛乳やヨーグルト)と比較して微生物が増殖しにくい物理的特性を備えています。
一般社団法人日本乳業協会などの知見に基づけば、未開封で規定の冷蔵温度(10℃以下)が保たれていた場合、安全係数(通常0.7〜0.8)を逆算すると、期限切れから1〜2ヶ月程度であれば風味の低下はあるものの、衛生学的に摂取可能なケースが大半を占めます。
ネット上で囁かれる「バター 賞味期限切れ 未開封なら半年や1年後でも問題ない」という言説については、保存環境と製品種別によって結果が真っ二つに分かれます。半年を過ぎると油脂の加水分解や自動酸化が進み、過酸化物価(POV)が上昇します。1年を過ぎたものは、たとえ外見にカビが生えていなくても、油脂の劣化による消化器系への負荷や著しい風味損耗が避けられません。