本作を取り巻く言説の中には、事実関係が歪められて拡散された誤解や都市伝説も少なくありません。その最たるものが、「赤坂アカ氏が作曲したのか」「すべて赤坂アカ氏の単独プロデュース作品なのか」という混同です。
結論から整理すると、作曲・作詞・編曲を一貫して手掛けたのはきくお氏です。赤坂アカ氏が関与したのは、当時同人サークル「Iemitsu.」が手掛けていたメディアミックス企画やアートワーク、コンピレーションアルバムの制作陣としての連携であり、楽曲そのものの音楽的テクスチャを生み出したのはきくお氏の固有の作家性に他なりません。現在では漫画界のトップランナーとなった赤坂アカ氏の初期活動歴として本作の名前が挙がることが多いため、ネット上の掲示板等で主客が逆転した噂が定着してしまったというのが真相です。
また、「単なる悪趣味な鬱曲・電波ソング」と一括りにする風潮も明白な誤読と言えます。音楽理論的な視座で見れば、本作は緻密なポリリズムの導入、不協和音の計算された配置、民族音楽的な音階とトイポップの融合など、極めて高度な音楽的構築物です。表面的な毒々しさの裏側に、冷徹なまでの音楽的計算が張り巡らされている点を見落としてはなりません。