「どんなに笑っても涙袋が出ない」と嘆く人は少なくありません。生まれつきの涙袋の有無を決定づける要素は、日頃のケア以前に遺伝的な骨格構造と筋肉の配置にあります。
涙袋がない人の特徴を解剖学的に分類すると、以下の3点に行き着きます。
- 眼輪筋の筋力および体積が薄い:瞼板前部にある筋線維の束が生まれつき細く、収縮しても前方に突出するだけのボリュームが足りないケースです。
- 眼窩骨(目の周りの骨)が奥まって平坦:頬骨の張り出しが弱く、眼窩の縁が平坦な骨格形状の場合、下まぶたの組織が緊張を保てず、筋肉の隆起が平らにならされてしまいます。
- 下まぶたの皮膚が厚く硬い:眼輪筋がしっかりと収縮していても、その上を覆う皮膚組織や皮下脂肪が分厚いと、筋肉の起伏が表面に現れにくくなります。
現場取材において、多くの形成外科専門医が指摘するのは「眼窩脂肪の突出による涙袋の埋没現象」です。十代や二十代の頃には明瞭な涙袋を持っていた人でも、三十代以降に眼窩隔膜が緩むと、奥から眼窩脂肪が押し出されてきます。その結果、本来際立っていた眼輪筋の土手部分が脂肪の圧力によって飲み込まれ、涙袋と目袋が一体化して消失したように見えてしまうのです。