日本の成人女性における体型データの変遷を追うと、食生活の変化や補正下着の普及により、平均カップ数は昭和から平成、令和にかけて年々上昇傾向を示してきました。トリンプ・インターナショナル・ジャパンやワコールが定期的に発表しているインナーウェア白書の長期追跡データによると、かつて1980年代には全体の約30〜40%を占めていたAカップの割合は、現在では全体の約5〜8%前後にまで落ち着いています。
しかし、母数が減少したからといって稀少な特異体型というわけではありません。日本女性の骨格(ウェーブタイプや平胴型)の特徴を考慮すると、数値上のカップ数以上にスマートで洗練されたプロポーションを維持している層がこのゾーンに集中しています。
ここで注目すべきは、AカップとBカップの違いです。JIS規格における差のピッチはわずか「2.5cm」に過ぎません。しかし、この2.5cmがもたらす立体体積の差は片胸あたり約30〜40g近くに達します。Bカップになると乳腺と脂肪の蓄積が乳房下垂部にも明確に現れ始め、胸の輪郭線がブラジャーのカップ外縁と合致しやすくなります。
対してAカップは、胸郭の丸みに沿ってなだらかに立ち上がるため、正面からの投影面積に対して前への突き出しが控えめになります。これが、洋服の上から見た際に「控えめ」と認識されやすい決定的な物理的要因です。