伏見稲荷大社の参拝は、本殿と千本鳥居を抜けた先の「奥社奉拝所」で引き返す観光客が全体の半数以上を占めます。しかし、信仰の核心は背後にそびえる標高233メートルの神体山「稲荷山」を巡る「お山巡り(おやまめぐり)」にあります。山中には無数の「お塚(信徒が私的に神名を刻んで奉納した石碑)」が立ち並び、下界とはまったく異なる幽玄な神域が形成されています。
お山巡りへ挑むにあたっては、事前のルート把握と体力的な見積もりが欠かせません。編集部では、旅行者の体力や所要時間に応じた3つの代表的な参拝パターンを詳細に比較・検証しました。
なお、奥社奉拝所の右奥には、有名な「おもかる石(重軽石)」が安置されています。この試し石は、灯籠の前で願い事を念じた後、宝珠の形をした頭部を持ち上げ、予想したよりも「軽ければ願いが早く叶い、重ければ叶うのが遅い」と伝えられるものです。単なる運試しにとどまらず、自らの願いに対する覚悟や心理的な重荷を客観視する精神修養の儀礼として、江戸時代から参拝者に親しまれてきました。