かつて松本人志の存在は、日本のお笑いにおける「絶対正義」だった。『ガキの使いやあらへんで!』や『ごつええ感じ』で見せた斬新なシュールさと圧倒的なワードセンスは、若い世代を中心に熱狂的な支持を集めた。彼の放つ一言が芸人の評価を左右し、彼が「面白くない」と一蹴すればそのタレントの価値が下落する。まさに彼はお笑い界のゲームチェンジャーであり、支配者だった。
流れが変わったのは、社会全体でハラスメントや性加害に対する意識が劇的に高まった2026年代半ばだ。2026年に表面化した一連の報道と活動休止は、それまで「芸人の豪快な遊び」「昭和・平成のノリ」として見過ごされてきた行動パターンを、法とモラルの天秤にかける契機となった。一連の裁判手続きと訴訟取り下げを経た現在、彼が積み上げてきた神話は「威圧的なパワーハラスメントの温床」という真逆の解釈に晒されている。