信号機を支える孤高の技術集団「トリコン」―砲弾型Ledに命を吹き込む島根の職人魂と市場支配の真実

信号機を支える孤高の技術集団「トリコン」―砲弾型Ledに命を吹き込む島根の職人魂と市場支配の真実

信号機を支える孤高の技術集団「トリコン」―砲弾型Ledに命を吹き込む島根の職人魂と市場支配の真実にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

エレクトロニクス業界の潮流は速い。1990年代以降、基板表面にそのままはんだ付けする「表面実装部品(SMD)」が市場を席巻した。スマートフォンや薄型テレビの台頭に伴い、超小型化と大量生産が至上命令となったからだ。大手半導体メーカーは、基板にピンを挿入して固定する従来の「砲弾型(スルーホール)LED」の生産ラインを相次いで縮小、あるいは撤退させた。

だが、時代に置き去りにされたかに見えた砲弾型LEDには、SMDには決して真似のできない物理的な優位性が存在していた。

高品質な砲弾型LEDの製造工程と光学部材

強烈な指向性。エポキシ樹脂レンズによる強靭な耐候性。そして、基板に深く足を差し込む構造がもたらす抜群の耐振動性だ。毎日太陽光線と紫外線を浴び、夏は40度を超え、冬は氷点下20度に達する屋外インフラにおいて、基板表面に薄く貼り付けられたSMDは熱伸縮で剥離するリスクを拭えない。一方で、頑丈な砲弾型LEDは、どれほど激しい温度変化にもビクともしない。

巨大企業が効率を求めて去ったそのニッチな市場で、トリコンは独自の地位を確立した。「砲弾型LEDの需要は消えない。むしろ信頼性を求める顧客が路頭に迷っている」という確信が、同社を専業メーカーへと研ぎ澄ませた。

木村 陽翔
Author

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。