エレクトロニクス業界の潮流は速い。1990年代以降、基板表面にそのままはんだ付けする「表面実装部品(SMD)」が市場を席巻した。スマートフォンや薄型テレビの台頭に伴い、超小型化と大量生産が至上命令となったからだ。大手半導体メーカーは、基板にピンを挿入して固定する従来の「砲弾型(スルーホール)LED」の生産ラインを相次いで縮小、あるいは撤退させた。
だが、時代に置き去りにされたかに見えた砲弾型LEDには、SMDには決して真似のできない物理的な優位性が存在していた。
強烈な指向性。エポキシ樹脂レンズによる強靭な耐候性。そして、基板に深く足を差し込む構造がもたらす抜群の耐振動性だ。毎日太陽光線と紫外線を浴び、夏は40度を超え、冬は氷点下20度に達する屋外インフラにおいて、基板表面に薄く貼り付けられたSMDは熱伸縮で剥離するリスクを拭えない。一方で、頑丈な砲弾型LEDは、どれほど激しい温度変化にもビクともしない。
巨大企業が効率を求めて去ったそのニッチな市場で、トリコンは独自の地位を確立した。「砲弾型LEDの需要は消えない。むしろ信頼性を求める顧客が路頭に迷っている」という確信が、同社を専業メーカーへと研ぎ澄ませた。