ここで重要なのは、本作のラストが単なる「能力喪失ハッピーエンド」で終わらない点です。最終回のラストシーン、斉木は再び自らの超能力が戻っている兆候を察知します。窓ガラスが勝手に割れ、彼は再び世界の理から外れた存在へと戻っていくことを予感させながら物語は幕を閉じます。
この「能力の復活」は、照橋との関係にどう影響するのでしょうか。もし超能力が戻ったのであれば、斉木は再び照橋の心の声を聞くことになります。しかし、一度「普通の人間」として彼女と向き合い、心が揺れ動いた経験は消えません。
斉木が選んだのは、超能力から逃げることではなく、超能力を持ったまま、それでも照橋たちとの「厄介で愛おしい日常」を受け入れるという選択でした。彼女の心の声を聞きつつも、それに呆れ、時に流されることを許容する。それこそが、斉木が下した彼なりの「最後の決断」だったのです。