時計の針を2007年7月6日の夜に戻します。当時、モーニング娘。を卒業しソロアーティストとして活動していた飯田圭織が、元7HOUSEのボーカル・ケンジ(長谷川憲司)との結婚、ならびに妊娠を発表しました。トップアイドルとして一時代を築いた彼女の慶事ではありましたが、タイミングはあまりにも劇的でした。翌朝7月7日には、かねてより企画されていたファンクラブ限定の日帰りバスツアーが控えていたからです。
ツアーの正式名称は「飯田圭織・前田有紀 アコースティックライブ&ファンクラブバスツアー in 清里」。熱心なファンにとって、推しメンと至近距離で触れ合える貴重な機会でした。しかし、出発を数時間後に控えた深夜の電撃報道により、参加者は眠れぬ夜を過ごすことになります。キャンセルもままならない時間帯、各自が複雑な胸中を抱えたまま、早朝の集合場所へと向かわざるを得ない状況が生まれたのです。
七夕の朝、東京駅周辺に集まったファンを乗せた大型バスは、山梨県の清里高原へ向けて出発しました。車内には異様な静けさと動揺が漂いながらも、誰一人として暴動を起こすことなく、運命のツアーは静かに幕を開けました。