両キャラクターを巡る議論で最も人々の関心を集めるのが、「口元の特異な表現方法」です。ここには両クリエイターの深遠な人間観察と表現哲学が宿っています。
まず、ミッフィーの口元に描かれた「×(バツ)」印について、多くの人が「マスクをしている」「口を塞がれている」と誤認しがちですが、これは完全な誤りです。原作者ディック・ブルーナ氏は、うさぎの鼻筋と上唇の割れ目を極限まで簡略化(ミニマリズム化)した結果として「×」で表現しました。なお、絵本に登場するミッフィーのお父さんやお母さんなど大人のうさぎは、「×」の中央に横線が1本加わった形状で描き分けられており、加齢に伴う顔の皺や立体感を表現しています。
一方、ハローキティに「口が描かれていない理由」について、サンリオ公式および歴代デザイナーの証言では、「見る人が自分の感情をキティに投影できるようにするため」と説明されています。見る人が嬉しいときはキティも微笑んでいるように見え、悲しいときは寄り添って悲しんでくれているように見えるという心理的バウンダリーへの配慮です。また、「言葉を交わさずとも心を通わせ合える(テレパシーのような心と心のコミュニケーション)」という平和への願いも込められています。