歴史をさかのぼると、式台のルーツは身分の高い客を迎える武家屋敷にある。江戸幕府を開いた徳川家康の時代、訪問者が籠(かご)から直接屋敷に上がるための足場として整備されたのが始まりだ。NHK大河ドラマ『どうする家康』の劇中でも描かれたような重厚な武家屋敷では、式台の幅や造りが主人の威厳を示す象徴でもあった。
一方で、茶の湯を大成した千利休をはじめとする数寄屋造りの名手たちも、この段差に美的な意味を見出した。日本伝統建築において、外と内をゆるやかにつなぐ中間領域としての式台は、機能性と格式の双方を備えた意匠として磨かれていったのだ。