その卓越した技術の土台にあるのは、劇団青年座で培われた確かな演劇的素養だ。新劇の伝統を受け継ぎ、舞台の上で何百人もの観客と対峙してきた経験が、彼の身体性を強固なものにしている。声の通り、セリフの間、共演者の芝居を受ける「受けの演技」の精度は、まさに職人技だ。
映像作品においても、その舞台仕込みの基本姿勢は揺らがない。台本を読み込み、役の動機を突き詰めた上で、現場での生のアクシデントや共演者の変化に柔軟に反応する。即興に近いやり取りの中でも決して軸がぶれないのは、若い頃に叩き込まれた基礎演劇の賜物だろう。