「幸せを運ぶ花」として親しまれる一方で、リリーオブザバレーには絶対に見逃せない危険な一面が存在します。実は、植物全体に極めて強い強心配糖体(コンバラトキシン、コンバラマリンなど)を含む有毒植物です。その毒性の強さは、薬草界において致死的な毒草として知られるジギタリス(キツネノテブクロ)に匹敵するレベルです。
誤って体内に入ると、嘔吐、眩暈、頭痛、激しい腹痛を引き起こし、重症化すると徐脈や心室細動といった重篤な不整脈を誘発し、最悪の場合は心不全で死に至ります。特に注意が必要なのが、以下のシチュエーションです。
最も身近で事故が起きやすいのが、「切り花を挿していた花瓶の水」です。コンバラトキシンは水溶性であるため、花を生けていた水の中に毒成分が溶け出します。小さな子どもや室内飼いの猫・犬がその水を誤って飲んでしまい、命に関わる中毒事故につながるケースが後を絶ちません。また、秋に実る赤く熟した果実を子どもが野イチゴと間違えて口にしたり、春の新芽を山菜の「ギョウジャニンニク」や「ウルイ(オオバギボウシ)」と誤認して採取・調理してしまう誤食事故も報告されています。