タイダイ(Tie-dye)の起源を辿れば、1960年代後半のアメリカに行き着く。混沌とした社会情勢の中、既成概念への反逆として花開いたヒッピームーブメント。その象徴となった1969年のウッドストック・フェスティバル(Woodstock Festival)の泥濘の中で、平和の象徴として若者たちが身に纏ったのが絞り染めだった。伝説的ロックバンド、Grateful Dead(グレイトフル・デッド)のファンコミュニティを通じてカルチャーとしての地位を確立したタイダイは、自由と反骨の精神そのものだったのだ。
時代は巡り、その文脈は現代のストリートファッションへと受け継がれた。ストリートとハイブランドの境界線を溶解させた故・Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)がランウェイにタイダイを再定義して持ち込んで以来、ラグジュアリーとDIYの垣根は完全に消滅した。今やタイダイは反体制のユニフォームではなく、研ぎ澄まされた個性をアピールするためのエレガントなテキスタイルデザインとして解釈されている。