『水滸伝』の物語が本格的に動き出す第2回、読者が最初に出会う主役級の好漢が史進です。華州華陰県の富豪・史家村の御曹司として生まれた彼は、家業の農業には目もくれず、幼少期から棒術をはじめとする武芸に没頭していました。
あだ名である「九紋龍」の由来は、父親が腕利きの彫師を招き、彼の肩や胸、背中から腕にかけて「9匹の青龍の刺青」を彫らせたことにあります。当時の中国において刺青(文身)は罪人の印やアウトローの象徴でもありましたが、裕福な家の若者が自らの強さと粋を示すために全身へ施した龍の紋様は、彼の破天荒で自由奔放な気質を如実に物語っています。
その後、都を追われて逃亡中だった禁軍の武術師範・王進(おうしん)と偶然出会ったことで、史進の運命は劇的に変化します。それまで我流の武芸に自信を持っていた史進でしたが、王進にあっさりと打ち負かされ、自らの未熟さを痛感。王進に弟子入りして十八般の武芸を徹底的に叩き込まれたことで、名実ともに一級の武芸者へと成長を遂げました。