かつてのアイドルグッズといえば、メンバーの顔写真がフロントに大きくプリントされた派手なデザインが主流だった。だが、その常識は過去のものだ。この転換点を先導したのは、秋元康がプロデュースを手掛け、ソニー・ミュージックエンタテインメントが送り出してきた乃木坂46をはじめとするトップランナーたちである。
彼女たちが提示したミニマルで都会的なビジュアルワークは、グッズの概念を根底から覆した。上質なヘビーウェイトコットン、絶妙なニュアンスカラー、タイポグラフィを巧みに配したグラフィック。一見してファンと分からない「わかる人にはわかる」絶妙な暗号性が、ファッショニスタの物欲をも刺激する。もはやCDセールスやサブスク再生数だけでなく、アパレルとしての完成度がグループの美学を雄弁に物語る時代なのだ。