日常のやり取りで最も迷いやすいのが、「なっています」と「なっております」の境界線です。両者の違いを明確に把握するためには、国語審議会(現・文化審議会国語分科会)の敬語指針が定める分類を理解するのが近道です。
「います」は聞き手全般に対する丁寧語ですが、「おります」は自分の行為や状態を相手に対して丁重に述べる「丁重語(謙譲語II)」に分類されます。つまり、「なっております」を用いることで、自分側の事象を一段低め、相対的に相手を高く持ち上げるフォーマルな構図が完成します。
また、日本語教育の質問プラットフォーム(HiNativeやLanguage Stack Exchangeなど)でも盛んに議論されているように、「なっています」「となっています」「なってきています」の間には繊細なアスペクト(状態や変化の過程)の違いが存在します。
- になっています:ある状態への変化が完了し、現在その状態が継続している客観的事実を示す。
- となっております:組織の規則、合意事項、公的な決定枠組みなどを厳格に相手へ提示する響きを持つ(契約や公式案内向き)。
- なってきています:過去のある時点から現在に至るまで、状況が徐々に移り変わる動的なプロセスを強調する。
社外宛てのビジネスメールにおいて自社の体制やスケジュールを伝える際、「なっています」を「なっております」に差し替えるだけで、文章全体の品格と誠実性が格段に跳ね上がるのはこのためです。