み むろ 杉 ディオアビータは、日本酒の既成概念を鮮やかに打ち砕く一本として、酒販店や感度の高い飲食店で激しい争奪戦を巻き起こしている。グラスに注いだ瞬間に立ち上るフレッシュな青リンゴやライチを思わせるアロマ、そして口に含んだ瞬間に広がるジューシーな酸味と透明感。従来の日本酒にありがちな重さやアルコール特有のカッとした刺激は皆無だ。およそ360有余年の伝統を誇る蔵元が放つこの酒は、ビギナーから目の肥えた愛好家までを一瞬で虜にしている。
酒造りの神が鎮座する聖地から生まれたみ むろ 杉 ディオアビータは、アルコール度数13度という軽やかさを保ちながら、加水を一切行わない原酒ならではの濃密な旨味を余すところなく湛えている。日常の食卓に寄り添う心地よさと、息をのむような洗練。その背後には、伝統の技と最先端の醸造理論を融合させた職人たちの飽くなき挑戦が存在していた。
神宿る三輪の地と今西酒造が仕掛ける「酒造りの原点回帰」
日本最古の神社の一つであり、日本酒の神様として名高い大神神社のお膝元、奈良県桜井市三輪。この土地で万治3年(1660年)から酒を醸し続けているのが今西酒造株式会社だ。酒造り発祥の地とも称される三輪において、歴史を背負うことは決して過去のやり方に安住することではない。
蔵元杜氏を務める今西将之氏は、家業を継いだ際に蔵の抜本的な改革を決断した。「三輪を飲む」という哲学を掲げ、酒造りに使う仕込み水は大神神社の御神体山である三輪山の伏流水のみを使用。米も地元の契約農家とともにテロワールを意識した栽培に取り組む。神聖な気と清冽な水、そして土壌の力が、研ぎ澄まされた酒質へと昇華されている。
低アルコール原酒の新境地!みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abitaの革新性
現在の日本酒・清酒醸造業界において、最大の関心事の一つが「低アルコール化」だ。しかし、単に水を加えてアルコール度数を下げるだけでは、酒本来のボディ感や香味のバランスが崩れ、水っぽさが際立ってしまう難点があった。その壁をブレイクスルーしたのが、低アルコール原酒という贅沢なアプローチだ。
今西酒造のフラッグシップラインである「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita」は、イタリア語で「神宿る」を意味する名を冠している。加水することなく、発酵のコントロールだけでアルコール度数を13度台に着地させる。これは極めて緻密な温度管理と酵母の活性制御が求められる高度な技術だ。結果として生まれたのは、みずみずしい果実をそのまま搾ったかのようなアタックと、驚くほどキレの良いフィニッシュである。