十二支の呪いは、永遠に続く神聖な絆などではなかった。何百年、何千年も薄まりながら受け継がれてきた「神と獣たちの宴」の残滓に過ぎない。紅野の呪いが高校生の若さで突如として解けた理由は、特別な儀式や解呪の呪文によるものではない。ただ単純に、寿命を迎えた糸がぷつりと切れただけだった。
ある日突然、彼の中から「鳥」の気配が消え失せる。空を飛ぶ感覚も、異性に抱きつかれて変身する理不尽も消え去った。しかし、この偶然の解放が彼に与えたのは歓喜ではなかった。神である草摩慊人が見せた激しい錯乱と絶望。崩れ落ちて号泣する幼い慊人を前に、紅野は自分だけの自由を捨て、彼女の傍に寄り添い続ける道を選んでしまう。