2003年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に各個認定された七代目菊五郎の功績は、歌舞伎の歴史において特筆すべきものです。『弁天娘女男白浪(弁天小僧)』の弁天小僧菊之助や『魚屋宗五郎』の宗五郎、『髪結新三』の新三など、世話物狂言で見せる江戸の小粋な町人の風情は、他の追随を許さない至高の域に達しています。
父である七代目尾上梅幸、祖父である六代目尾上菊五郎らから受け継いだ音羽屋の精神を骨身に刻み込みながら、台詞の歯切れの良さや洒脱な仕草を極めてきました。型を崩さずにして観客を飽きさせないそのリアリズムは、現代の若い役者たちにとっても最高の生きた手本となっています。