歳時記をめくると、「竹の秋」は晩春(現在の太陽暦で4月下旬〜5月頃)の季語として分類されています。名前に「秋」と入っているにもかかわらず、春の季語として扱われる代表的な言葉の一つです。
一般的な樹木が新緑を芽吹かせ、山々が瑞々しい若葉色に染まるこの季節、竹林だけは周囲と全く異なる表情を見せます。青々としていた竹の葉が黄色く変色し、まるで秋が深まったかのようにハラハラと葉を落としていくのです。
周囲が春の爛漫を迎える中で、竹林だけがひっそりと「秋」の装いを見せる。この季節のズレが生み出す独特の景観を捉え、古来の歌人や俳人たちはこの現象を「竹の秋」と呼び習わしました。