演劇や映画の制作現場からも、過度な容姿変更に対する懸念が聞こえてくる。第一線で指揮を執る監督たちが重視するのは、役者の「表情の可動域」だ。注入治療などによって眉間や頬の動きが制限されてしまうと、怒りや哀しみ、微妙な葛藤といった演技のダイナミズムが損なわれてしまう。
スクリーンで観客の心を揺さぶる名優ほど、顔全体の筋肉をフルに使い、歪みやシワすらも役に命を吹き込む道具として活用する。顔に手を加えないという選択は、単なる見た目のこだわりではなく、表現者としての表現力を限界まで引き出すためのプロフェッショナルな決断だ。