実態はどうだったのか。週刊誌の記者陣はロサンゼルスや日本国内を駆け巡り、ふたりの足取りを追い続けた。しかし、関係者への徹底的な張り込みや聞き込みを行っても、ふたりが密会した決定的な現場写真は一枚たりとも世に出ることはなかった。それにもかかわらず、噂は沈静化するどころか定期的に再燃を繰り返した。
ここには当時の芸能ジャーナリズムが抱えていた構造的な問題がある。確証がなくても「匂わせ」という曖昧なファクトを並べるだけで、ネットニュースは莫大なページビューを稼ぎ出せる。スポーツエンターテインメントの枠組みにおいて、大谷の私生活は最大のキラーコンテンツであり、真偽の検証よりも「読者が信じたい物語」を供給し続ける力学が働いていたのだ。当事者たちが沈黙を守る限り、憶測は真実の顔をして独り歩きを続けた。