かつて目黒エリアにおける「立ち飲み」といえば、昭和の風情を残す大衆酒場や焼き鳥店が主流だった。しかし、その固定概念を鮮やかに塗り替えたのがこの店だ。ハイテーブルとカウンターのみの限られたスペースに、シェフ渾身のフレンチが次々と運ばれてくる光景は、当時の外食シーンに強烈なインパクトを与えた。
立ち飲みというカジュアルな形態でありながら、調理場から漂う空気は真剣そのもの。仕込みに一切の妥協を許さず、素材の良さを極限まで引き出す職人技が、狭小空間の中で惜しげもなく披露されている。この「気軽さと本格派のギャップ」こそが、長年愛され続ける最大の原動力なのだ。