日本三大酒処の一つ、安芸西条を擁する広島県。水質に恵まれたこの地は、古くから吟醸酒の発祥地として知られてきた。最近の居酒屋シーンで特に注目されているのが、「温度帯にこだわる燗酒」の提案だ。
「熱湯で一気に温めるのではなく、50度から徐々に冷まして旨みを開かせるんです」
そう語る名物店主の手元からは、ふわりと心地よい麹の香りが立ち上る。「賀茂鶴」「竹鶴」「雨後の月」「宝剣」といった伝統銘柄から、新進気鋭の若手酒蔵が手掛ける限定酒まで。料理の脂を切るシャープな純米酒や、肉料理に負けない芳醇な原酒など、一皿ごとに酒を変えるペアリング体験が、いま広島の若い世代や女性客の間で密やかなブームとなっている。