そもそも、利用客はなぜキャンセル料を支払わなければならないのでしょうか。その根本的な根拠は民法上の契約関係にあります。
インターネットや電話でホテル、飲食店、サロンの予約を完了させた時点で、法律上は「利用契約(民法第632条の請負や第656条の準委任などに類する無名契約)」が有効に成立しています。利用者が一方的にその約束を破棄することは、法的には民法第415条の「債務不履行」に該当します。店舗側は予約枠を確保するために仕入れを行い、人員を配置し、他の客の予約を断っているため、ドタキャンによって生じた実害を賠償請求する権利があるのです。
あらかじめ予約時に「前日50%、当日100%」といった条件が明記されている場合、これは民法第420条の「賠償額の予定」にあたります。利用者がその規約に同意して申し込んでいる以上、原則としてその金額を支払う法的拘束力を持ちます。
一方で、店舗側の言い値がすべて無制限に認められるわけではありません。ここで消費者を守る防波堤となるのが消費者契約法第9条第1号です。同条文では、「契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効とする」と明確に定められています。
例えば、予約の1ヶ月前にキャンセルし、店舗側が余裕を持って別の予約で席や部屋を埋められる状態であるにもかかわらず「理由を問わず全額請求」とするような規約は、平均的損害額を著しく逸脱しており、法的に無効と判断される可能性が極めて高いといえます。法は店舗の被った正当な損失を守る一方で、不当なペナルティの押し付けを厳格に禁じているのです。