あのアニメーション史に残る怪作で主役の声に抜擢された当時、彼はまだ十代の脆さと危うさを身に纏っていた。巨匠・宮崎駿が求めたのは、作り込まれた演技の巧みさではなく、生身の人間が抱える矛盾や葛藤そのものの響きだ。声だけで命を吹き込むという苛烈な試練をくぐり抜けた体験は、彼の表現者としての背骨を決定的に鍛え上げた。
20代に突入した現在の彼は、かつて声の響きに込めていた切実な熱量を、全身の肉体言語へとダイレクトに変換している。スクリーンにただ佇む。それだけで役の背景にある苦悩や歴史が、言葉を超えるリアリティとなって立ち現れるのだ。早熟な天才というラベルはすでに剥がれ落ち、そこには一人の強靭な役者が立っている。