加賀百万石の優美な歴史を舌で感じるなら、伝統的な郷土料理の世界も見逃せません。中でも代表格である「治部煮(じぶに)」は、鴨肉(または鶏肉)に小麦粉やすだれ麩、季節の野菜を合わせ、とろみのある甘辛い出汁で煮立ててワサビを添えた格調高い一品です。金沢の郷土料理である治部煮の名店としては、老舗料亭「大友楼」の味を気軽に楽しめる系列店や、ひがし茶屋街周辺の町家割烹、兼六園周辺の食事処が挙げられ、上品な甘みとワサビの爽やかな辛みが織りなす絶妙な調和を堪能できます。
また、冬の金沢グルメにおける最大の華といえば、ズワイガニの雌である「香箱(こうばこ)ガニ」です。雄の加能ガニに比べて小ぶりですが、甲羅の中に詰まった濃厚な内子(卵巣)とプチプチとした外子(受精卵)、そして緻密な蟹味噌の濃厚な旨味は、一度食べると忘れられない魔力を持っています。
注意すべきは香箱ガニが食べられる時期の短さです。資源保護のため漁期が厳しく定められており、例年11月6日の解禁から12月末までの約2ヶ月間弱しか水揚げされません。おでん種として甲羅に身を詰めた「かに面」や、贅沢に盛り付けられた香箱ガニ丼を味わいたい方は、初冬の金沢旅をピンポイントで計画する必要があります。