大根をそのままかじった時と、大根おろしにして食べた時とで、辛さの感じ方が全く異なることに気づいた方も多いでしょう。これには明確な植物生化学的理由が存在します。
大根の細胞内には、辛味の元となる「グルコシノレート(辛味配糖体)」と、細胞質内に存在する酵素「ミロシナーゼ」が別々に格納されています。大根を切ったりすりおろしたりして細胞壁が破壊されると、この2つが混ざり合って化学反応を起こし、「イソチオシアネート(アリルイソチオシアネートなど)」という強い刺激性物質が生成されます。
なぜ先端ほど辛いのかという疑問について、植物生理学では「防衛本能」として説明されます。地中深くに潜る大根の先端や成長点は、土壌中の害虫や微生物に攻撃されるリスクが最も高いため、身を守る化学兵器としてグルコシノレートを先端付近に高濃度で配置しているのです。
また、外皮の近くにも維管束や外敵から身を守る組織が集中しているため、中心部よりも皮に近い部分のほうが辛味成分が多く含まれることも重要な事実です。