この一件は、試験の枠を超えて経済や産業構造にも大きな波紋を広げた。まず動いたのが大手予備校を中心とする教育・受験産業である。過去問の分析や模試の作成において、従来の固定観念にとらわれない新傾向の文章への対策が急務となった。難解な身体論や現代小説の比喩表現に対応するための新しいカリキュラムが直ちに編纂された。
一方、出版業界にとってもこの騒動は思いがけない追い風となった。話題となった川上氏の文庫本や関連書籍は、受験生のみならず一般の読者層の間でも売上が急増。全国の書店で特設コーナーが作られるなど、入試問題がひとつのヒット作を生み出すメディアとして機能する現象を証明したのである。