誰もがゴールインを確信していた二人が、なぜ結婚という道を選ばなかったのか。その背景には、互いを深く尊重していたからこそのすれ違いと価値観の相違がありました。
第一の理由は、志村けんさんの結婚観と芸人としての生き様です。志村さんは生涯独身を貫きましたが、根底には「家庭を持つことで芸のキレが失われるのではないか」「夜の街で遊び、後輩と飲み歩く生活をやめられない」という芸人特有の美学がありました。芸の肥やしとして自由を愛する志村さんにとって、法的な結婚という枠組みは重荷になっていた側面があります。
第二の理由は、いしのようこさんの自立と将来設計です。交際当時、20代を迎えていた彼女は、志村さんのパートナーという立場に甘んじることなく、一人の女優として独り立ちしたいという強い意志を抱くようになりました。年齢差は約18歳あり、将来の出産や家庭環境を現実的に考えたい女性側の視点と、生涯現役のコメディアンとして生きる男性側の生き方が徐々に乖離していったのです。
約7年に及ぶ同棲の末、二人は喧嘩別れではなく、互いの未来を見据えた話し合いの末に同棲を解消しました。憎しみ合っての破局ではなかったからこそ、別れた後も特別な信頼関係が消えることはありませんでした。