ネット上で長年囁かれ続けている「SAOの性描写」という話題の核心にあるのが、通称「16.5章」と呼ばれる幻のエピソードです。これは商業化された電撃文庫版の書籍には存在せず、2000年代前半に原作者の川原礫氏が「九里史生(くのり ふみお)」名義で運営していた個人Webサイト『WordGear』時代に一時的に掲載されたテキストコンテンツを指します。
当時のネット小説界隈では、本編の補完や読者サービスの一環として、成人向け描写を含むサイドストーリーを作者自身が番外編として公開する文化が一部で見られました。本作においても、アインクラッド第74層でキリトとアスナが互いの想いを確かめ合い、システム上の結婚に至る直前の「空白の夜」を描いたテキストが、第16話と第17話の間にあたる「16.5話」として投下された経緯があります。
しかし、2009年に電撃文庫での商業出版が決定した際、同サイト上の該当テキストは速やかに取り下げられ、電撃文庫版第1巻の該当シーンはプラトニックかつ情緒的な朝を迎える描写へと完全に差し替えられました。川原礫氏自身もその後のインタビューや自身の公式SNSにおいて、当時の執筆を「完全に若気の至りであり、消し去りたい過去」と率直に振り返っています。公式の見解としては正史から完全に除外されており、商業作品としてのSAOに直接的なハード描写は存在しません。