現時点で実験的・理論的に裏付けられている代表的な物質の硬度比較を整理すると、従来の教科書的な序列とは異なるダイナミックなランキングが浮かび上がります。
1位:カルビン(理論値)
一次元炭素鎖で構成される物質。ビッカース硬度という押し込み指標では測定困難ながら、原子間結合の剛直性と引張強度において全物質の頂点に位置します。
2位:ロンズデーライト(六方晶ダイヤモンド)
理論的限界値としてダイヤモンドの1.5倍以上の硬度を持つと推算され、微小サンプルの実験でも150GPa超の圧縮耐性を実証しています。
3位:ウルツ鉱型窒化ホウ素(w-BN)
相転移を利用した高圧合成により得られる結晶で、ダイヤモンドを凌駕するインデンテーション耐性と優れた耐酸化性能を兼ね備えます。
4位:ダイヤモンド(天然・人工鉱物)
自然界で最も硬い物質として不動の地位を保ちます。ビッカース硬度は約100GPa。気相成長法(CVD)によって製造される高純度単結晶ダイヤモンドは、工業用カッターやヒートシンクの基幹素材です。
5位:立方晶窒化ホウ素(c-BN)
ダイヤモンドに次ぐ硬度(約50〜60GPa)を持つ代表的な人工鉱物。鉄系金属との反応性が低く、ダイヤモンド工具が使えない鋼材の切削加工において産業界を支えています。