細谷佳正の真骨頂とも言えるのが、精神的に追い詰められた人物の痛切な叫びだ。世界中を震撼させたダークファンタジーの金字塔『進撃の巨人』で彼が演じたライナー・ブラウンは、まさにその代表格と言える。
兵士としての責任感と、戦士としての使命感。その間で精神が崩壊していくライナーの複雑極まりない心理状態を、細谷は過剰な演出に頼らず、声の震えや微細なトーンの変化で見事に表現した。「俺が……悪かったんだ」という吐露に滲む圧倒的な絶望感は、観る者の胸を締め付けた。ただ格好いいだけのキャラクターではなく、人間の弱さや脆さを泥臭く演じ切る姿勢こそが、物語の深みを極限まで高めている。