1970年代後半、水谷の魅力はさらなる頂点へと達する。日本テレビ系でスタートした『熱中時代』で演じた小学校教師・北野広大役だ。「僕ちゃんさぁ」という独特の方言混じりの語り口と、生徒たちに誠心誠意ぶつかる熱血ぶりは全国的な社会現象を起こし、最高視聴率46.7%という金字塔を打ち立てた。
特筆すべきは、同シリーズで見せた完璧な役柄の打ち分けだ。『熱中時代』の学園ドラマ版で見せた愛くるしくコミカルな表情に対し、先行して放送された刑事ドラマ版(刑事編)では走る・跳ぶ・殴り合うといったハードなアクションとシリアスな表情を全面に押し出した。この振り幅の広さこそ、水谷豊が単なるアイドル俳優にとどまらない、本物の名優たる所以である。