かつてのような「代紋を掲げればシノギ(資金獲得活動)ができる」という時代は完全に過去のものとなりました。元幹部の手記や法廷証言、捜査関係者の証言が一致して浮き彫りにするのは、暴力団という組織形態そのものの構造的崩壊です。
暴力団排除条例(暴排条例)の全国的な定着により、構成員は銀行口座の開設、クレジットカードの発行、賃貸住宅の契約、さらにはスマートフォンの新規契約すら詐欺罪の適用対象となります。組幹部の一人は、法廷や関係者への取材において「若い者を部屋住みさせて育てることなど不可能。飯を食わせるどころか、上納金を払うために高齢の幹部自らが金策に走り回っている」と窮状を吐露しています。
こうした状況下で裏社会の主役に躍り出たのが、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)です。SNS上の「闇バイト」を通じて使い捨ての人員を募集し、特殊詐欺や強盗を繰り返すトクリュウは、従来の暴力団のような親分子分の盃や任侠道とは無縁です。
七代目の組織図を論じる上で見落としてはならないのは、暴力団がピラミッド型の組織を維持しにくくなった結果、実力派の幹部たちがトクリュウの背後に「元締め」や「資金洗浄役(マネー・ローンダリング)」として潜り込んでいる実態です。看板を隠し、実体を見せないサイバー空間や地下金融への浸透こそが、2026年現在の裏社会の真の姿といえます。