他の私立小学校と慶應義塾幼稚舎を決定的に分かつのは、創設者・福澤諭吉が掲げた「独立自尊」の理念を具現化する特異な教育環境だ。教科書を使わず、各担任が自らカリキュラムを構築する自由度の高い授業。6年間にわたる長期的な視点で、子供の個性と探求心を徹底的に伸ばす仕組みが整えられている。
宿題に追われることもなく、中学受験の偏差値競争とも無縁な日々。だが、それは自由であると同時に、自律を強く求められる環境でもある。手取り足取り教え込むスタイルに慣れきった家庭は、学校側の「家庭教育への絶対的な信頼」という名の放任に戸惑うことも多い。
福澤の精神である「まず獣身を成して、のちに人心を養う」の教え通り、身体を鍛え、豊かな感性を育む教育は、日本の画一的な教育システムから完全に一線を画している。