メジャーリーグベースボールの世界において、日本人選手の専属通訳は単なる言語の壁を埋める存在にとどまらない。運転手、練習相手、メディア対応の調整、さらには生活全般のセットアップに至るまで、公私にわたるマネージャーとしての役割を担うことが多い。
ロサンゼルス・ドジャースという世界的名門球団において、最高額の選手に寄り添う専属通訳の位置付けは、チーム内でもきわめて特殊だった。球団スタッフや報道陣、スポンサー企業との接点をすべて独占できる環境が、皮肉にもチェック機能を機能不全に陥らせた。孤立した密室のような信頼関係が、周囲の監視の目を遮断する防波堤になってしまったのだ。