日本国内において、このハーブの聖地といえば北海道の富良野市だ。昭和30年代後半から精油の生産を目的に大規模な栽培が始まり、一時は輸入品の台頭で存続の危機に瀕したものの、写真家たちの美しい一枚をきっかけに奇跡的な復活を遂げた。
その中心となったのが、今や世界中から観光客を引き寄せるファーム富田である。広大な丘陵を一面の紫に染め上げる風景は、人々の心に強い感銘を与えた。さらに、富良野を舞台にした国民的ドラマ『北の国から』や、香りが物語の鍵を握るSF名作『時をかける少女』などの映画・文学作品を通じて、その香り高い存在感は日本人の文化的記憶へと深く刻み込まれていった。