ニュースなどで「〇〇社が数百億円の最終赤字に転落」と報じられると、即座に倒産の危機を連想する人が少なくありません。しかし実際には、大規模な最終赤字を計上しながらも平然と事業を継続し、翌期に急回復を果たす企業は数多く存在します。そこには当期純利益が赤字になる理由の質的な違いが隠されています。
会社が倒産する唯一の直接原因は「手元の現金(キャッシュ)が尽きて支払いができなくなること」であり、帳簿上の赤字そのものではありません。例えば、不採算店舗を一括で撤退させるために多額の減損損失を計上した場合、損益計算書上の当期純利益は大幅なマイナスになります。しかし、減損処理自体は現金の流出を伴わない会計上の手続きであるため、本業で営業キャッシュフローが黒字であれば、会社の資金繰りはびくともしません。
警戒すべきは、本業の儲けを示す「営業利益」が何期も連続して赤字に陥っているケースです。本業で現金を稼げず、資産の切り売りや銀行からの追加借入で糊口をしのいでいる状態は、構造的な危機と言えます。損益計算書を見る際は、赤字の額面だけでなく「どの段階の利益がマイナスになっているのか」を必ず峻別してください。