赤地に白い三角、中央に踊る「力」の文字。誰もが一度は見かけたことがあるであろうあの商標には、働く人々への深い敬意が込められている。創業当時、体力を突き崩しながら力仕事に励む職人や行商人たちに、手軽で栄養価が高く、腹持ちの良い食事を提供したいという想いから「力餅」と名付けられた。力餅食堂の店内に入れば、ほとんどの客がうどんや丼ものと一緒に、サイドメニューとして「おはぎ」や「赤飯」を注文する。一見すると不思議なこの炭水化物×炭水化物の組み合わせこそ、創業以来受け継がれてきた伝統のスタイルだ。
出汁をたっぷり吸い込んだ柔らかめの関西うどんをすすり、食後に甘さ控えめのおはぎを口に運ぶ。塩気と甘みの絶妙な往復運動が、疲れた体にじわじわと染み渡っていく。この計算し尽くされていないようで完璧な食体験は、一度味わえば病みつきになる。単なる食事にとどまらず、明日の活力を養うための儀式のようなものだったのだ。