本殿金堂での拝観を終えた後、多くの旅行者が引き返してしまうが、真の魅力を味わうならば「奥の院参道」へと足を進めるべきだ。ここからは本格的な山道となり、大地にへばりつくように根を巡らせた「木ノ根道」が続く。硬い岩盤によって地中に根を張ることができなかった杉たちが創り出した異彩を放つ景観は、義経が跳躍の練習をした場所としても知られる。
不動堂や義経堂を巡りつつ、魔王殿へと辿り着く頃には、下界の感覚は完全に遮断される。600万年前に金星から地球に降り立ったとされる大魔王尊が祀られたこの地は、静寂の深さが格段に増す。そのまま山を下り、清冽な貴船川のせせらぎが聞こえてくれば、全国的に有名な水の神・貴船神社へと抜けることができる。鞍馬から貴船へと巡るこの回峰ルートは、心身を徹底的に浄化する至高のトレッキングコースだ。