スマートフォンの画面をスクロールし、食べログやGoogle マップ、ぐるなびの星の数を眺めているだけでは、博多の真髄には到底たどり着けない。ネット上で高評価を獲得している人気店が必ずしも最良の選択肢とは限らないのが、この街の奥深いところだ。地元民が真に愛し、毎夜のように通い詰める酒場ほど、あえて過剰なプロモーションを避け、常連のための席を静かに守っている。
筑紫口の静かな路地裏や、博多口から少し歩いた祇園・住吉方面に点在する名店には、派手な看板もキャッチコピーもない。ただ小さな赤提灯が灯り、引き戸の隙間から笑い声が漏れ聞こえてくるだけだ。そうした店で出される玄界灘の天然魚や、じっくり煮込まれた牛すじは、一度味わえばネットのランキングがいかに一面的なものかを痛感させてくれる。