SNSやQ&Aサイトを観察すると、「カロナールとお酒を一緒に飲んだけれど何ともなかった」「少量のビールなら平気」といった個人の体験談が散見されます。しかし、臨床現場の医師や薬剤師はこの「たまたま無事だった個人の成功体験」の拡散に強い危機感を抱いています。
救命救急センターの臨床報告によると、アセトアミノフェンによる重症肝不全で搬送される患者の少なからぬ割合が、「常用量または規定量より少し多い程度の服薬」と「日常的な飲酒」の重複によるものです。海外ではアセトアミノフェン過量服薬およびアルコール併用による急性肝不全が、肝移植原因の上位を占める重大な社会問題として認知されています。
「前回大丈夫だったから今回も平気」という論理は薬理学的に全く成り立ちません。その日の体調、直近の飲酒量、脱水状態、食事の摂取状況によって肝臓のグルタチオン残量は劇的に変動します。一度の油断が取り返しのつかない劇症肝炎につながるリスクを、現場の医療従事者は日常的に目の当たりにしています。