志茂田景樹という稀代の表現者を語る上で欠かせないのが、劇的なキャリアの変遷である。ここでその足跡を詳細まとめとして整理してみたい。
不遇の下積み時代を経て、40歳で直木賞を手にした瞬間から彼の快進撃は始まった。しかし彼を唯一無二にしたのは、文学界の権威にとどまらず、ショッキングピンクの髪とタイツでバラエティ界へ飛び込んだ破天荒さだ。「作家がなぜテレビで道化を演じるのか」と批判を浴びながらも、本人は世間の固定観念を嘲笑うかのように軽やかに笑っていた。
転機が訪れたのは1999年。「よい子と母の絵本の読み聞かせ隊」を結成し、派手な衣装のまま全国の幼稚園や被災地を巡る活動をスタートさせた。子どもたちの目を見つめ、声色を変えて物語を語るその姿は、かつての奇抜タレントのイメージを完全に刷新した。大人も子どもも関係なく、孤独な魂に寄り添いたいという願いが、彼の全活動を一貫して貫いている。