上弦の参・猗窩座の最期は、作中屈指の涙を誘う名場面として語り継がれています。炭治郎との死闘の中で人間時代の記憶「狛治」を取り戻した彼は、自ら命を絶つ道を選びました。地獄の業火が彼を包もうとしたその時、現れたのは恩師・慶蔵と最愛の婚約者・恋雪でした。「おかえりなさい、あなた」と抱きしめる恋雪に対し、狛治は号泣しながら謝罪し、共に地獄の炎へと消えていきます。罪は消えずとも、魂の救済を得た象徴的なシーンです。
これと痛烈なコントラストを成すのが、上弦の弐・童磨の最期です。毒によって肉体を溶かされ、死後の空間で胡蝶しのぶの魂と対峙した童磨は、生まれて初めて「恋心」という感情を自覚します。しのぶに対して「ねぇ、俺と一緒に地獄へ行かない?」と誘いかけますが、しのぶが返したのは冷徹な微笑みと「とっととくたばれ糞野郎」という容赦のない一言でした。童磨は愛や共感を得ることなく、ただ冷たい拒絶の中で地獄へと落ちていったのです。